2011年8月23日火曜日

[レビュ][本]環境問題はなぜウソがまかり通るのか 武田邦彦

書籍名 : 環境問題はなぜウソがまかり通るのか
著者 : 武田邦彦
出版社 : 洋泉社
出版年 : 2007年12月

書籍名のとおり、またテレビの武田さんの主張のとおり、環境問題のウソについて記載している。大学で研究しているので、データや科学的根拠はすごく納得するし、直感的にも確かだと思うこと多い。けど、因果関係がちょっと短絡的なものが多い感じがする。

たとえば、「リサイクル意識の高まり→ペットボトルの使用量増えた→ゴミ増えた」だから、リサイクル意識はゴミを増やす、というような。
そもそもペットボトルを使用するのは、ガラス瓶より軽いので持ち運びしやすいので、高齢者にも運送業者にも優しい、家で麦茶を入れたり再利用しやすいなどの理由も多くて、使用量が増えたと思う。

まあ、便利だからといってコストを無視していいわけでなく、確かに税金で補填されてるのはおかしい。

ダイオキシンもベトナム戦争より日本の田んぼに使用された量が多いが、ダイオキシンで死んだ人はいない、というようなことが書かれているが、当時、ダイオキシンによる病気と診断できる医療が発展してなく、病名不明など統計がとれていなかったのではないかとも思う。

ただ、確かに、毒でない醤油も一升瓶で飲めば病気になったり、チョコレートが人間には無害でも犬には悪いというような論理で、ダイオキシンの人間への影響は過大に報道されているように思う。

なるほどと思ったのは、
頑張って二酸化炭素の規制で温暖化を防止しなくとも、石油が枯渇するので、すぐに温暖化問題は解決するという皮肉は、的を得ているなぁ。結果は同じかもしれんが、温暖化どうのこうのと言わずとも、石油の代替エネルギーを研究するのが優先だよな。

さすがに、最近は北極の氷が溶けて海面上昇とは言わなくなって来て、地上にある氷河が溶けて海面上昇と報道してるかな。だけど、地球上の淡水の量って海水に比べ無視できるくらい少ない比率だったはずなので、海面上昇もあるのかな?本当は工業用水汲み上げによる地盤沈下なのに、工業地域の産業に配慮してたりするのかな。

産業や政治、報道で煽動されないよう、一読しておくべき本だと思った。

目次を掲載しときます。

目次
第一章
資源7倍、ごみ7倍になるリサイクル

ペットボトルのリサイクルで環境を汚している
分別回収した方がごみが増える?
大新聞が変えたリサイクルへの流れ
リサイクルするにも資源を使う
ペットボトルをリサイクルする事で資源を7倍使っている
欧米人と日本人で大きく異なる衛生感覚
ペットボトルを原料に戻すためにも石油を使う
日本はリサイクルの優等生だと言うウソ
リサイクルとお金の流れはどういう関係にあるか
我々はリサイクルのためにどのくらいのお金を取られているのか
リサイクルにまつわる国民への裏切り
リサイクルで儲けているのは誰か
国民的運動のように行っている分別回収の虚しさ
約1兆円のお金がリサイクルのために使われ、直接的間接的に我々が支払っている
実際にリサイクルされているのかどうかを調査してみる
本当はごみを分けても資源にはならない
スーパーの袋だけが目の敵にされるのは間違い
ペットボトルのリサイクルより、自動車の量を減らす方が格段に環境に優しく本質的
有意義にペットボトルを使って焼却するのが環境に一番良い
ドイツが環境先進国であるとは必ずしも言えない
リサイクルをはやく止めなければいけない理由
ごみ分別の無分別
ゴミ袋を特定する必要は全くない
リサイクルの強要は憲法違反
リサイクルした方が良い物と悪いもの

第二章
ダイオキシンはいかにして猛毒に仕立て上げられたか

ダイオキシンは本当に猛毒なのか
つくられたダイオキシン騒動
かつて撒かれた農薬によって日本の水田のダイオキシン濃度は非常に高かった
日本の水田に散布されたダイオキシンの量はベトナム戦争時の8倍にもなる
ダイオキシンは自然界に普通にあるものであり、数億年前から地上にあった
モルモットと人間ではダイオキシンへの毒耐性が違う
ダイオキシンが生成される条件とは
大昔から人間はダイオキシンに接しながら生きて来た
焼き鳥屋の親父さんはダイオキシンを浴び続けているはずなのに健康である
かつてダイオキシン報道に科学は破れてしまった
専門家の間ではダイオキシンの毒性が弱い事は周知の事実
ダイオキシン対策のために使われた費用の莫大さ
多くの人を不安に陥れたダイオキシン報道の罪
ダイオキシン危険説への反
「あなたの子供には奇形児が生まれる」という脅迫
情報操作のケーススタディとしてのダイオキシン問題
環境ホルモンという恐怖物質の登場
タバコは税金を取るからダイオキシンは発生しない?
毒性の強いPCBを強引にダイオキシン類に入れた理由
毒物で死なずに報道で殺される人たち

第三章
地球温暖化で頻発する故意の誤報

地球温暖化騒ぎの元になったそもそもの仮想記事とは
南極大陸の気温はむしろ低下していた
北極の氷が溶けて海水面があがるなどという言説がなぜまかり通るのか
南極の周りの気温が高くなると僅かだが海水面は下がる
環境白書や新聞は地球温暖化問題をどう報じたか
「故意の誤報」が起きる原因とは何か
誰も環境を良くする事には反対できないために生じる運動
地球温暖化問題で一体、我々はどうすれば良いのか
地球温暖化防止キャンペーンの誤り
節電すると石油の消費量が増える?
森林が二酸化炭素を吸収してくれるという論理の破綻
形だけの環境改善を我々は望んでいるわけではない
科学的知見に反する現代のおとぎ話
新幹線を使えば飛行機よりも二酸化炭素の発生量が10分の1になる?
二酸化炭素の発生量は水素自動車の方が大きいと発言する人はむしろ良心的だ
地球温暖化はどの程度危険なのか
地球が暖かくなると冷やし、冷えて来たら暖かくする?
京都議定書ぐらいでは地球温暖化を防げない
日本はロシアから二酸化炭素の排出権を2兆円で買うのか
地球温暖化よりも大切なこと

第四章
チリ紙交換屋は街からなぜいなくなったのか

紙のリサイクルに対する先入観と誤解
森林資源破壊の元凶にされてしまった紙
姿を消したチリ紙交換のおじさんはどこに行ったか
東京湾の漁民は職を失い、一部は清掃業に流れた
チリ紙交換屋さんの仕事が奪われるまで
民から官への逆転現象が起きた紙のリサイクル
国民より業界優先の伝統的体質
庶民を痛めつける環境問題ーーごみは冷蔵庫に?
分別せずにごみを処理する方法を模索している市
環境運動が日本の火災を増加させた?
故意の誤報と間接的な殺人
自分だけの健康が守られれば良いのかーー環境問題の孕む矛盾

第五章
環境問題を弄ぶ人たち

「環境トラウマ」に陥った日本人
本当の環境問題の1つは石油の枯渇
現代農業は石油に依存しきっている
石油がなくなれば地球を温暖化する手段を失う
石油を前提とした日本人の生活システム
石油がなくなれば農業の生産性も著しく落ち、食料危機へと発展する
農業の衰退と自国で生産されたものを食べないことによる弊害
身土不二的な暮らしの大切さ
工業収益の一部を農業や漁業に還流すべき
石油が枯渇すれば地球温暖化は自動的に解消する
人間から運動能力や感性を奪っていく「廃人工学」
根源的な意味での現代の環境破壊とは何か
安全神話の崩壊と体感治安の悪化
失われつつある日本人の美点


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