どうやって求めるのか考えてみた。
円周率の求め方は、もちろん歴史的にもいろいろ研究されているけど、やっぱり分かりやすいのはアルキメデスによる円に内接・外接する多角形の外周から求める、幾何学だろう。微積分を使うのも、抽象的で思考だけで行けそうだが、幾何学で図形と三角関数程度で理解できると、説明しやすいよな。
<定義>
半径1の円の周りの長さの半分を円周率πとする。
<説明>
さっそく、半径1の円に内接、外接する正多角形の図を描いてみる。単純でも複雑でも理解は難しいので、正六角形くらいにしてみる。
上側の半円だけ見れば、
内接正六角形の外周の半分 < 円周率π < 外接正六角形の外周の半分
となることが分かる。
また、直線ABは半円の中に6個。直線ACは半円にちょっとはみ出しながら6個あるから、
直線AB×6 < 円周率π < 直線AC×6
補助線を引いて、理解しやすい三角形を探しておくと、
内接正六角形では、△OAB。外接正六角形では、△OACが見えてくる。
∠ABと∠ACの角度は、π(180度)の1/6であり、三角関数を用いて、
直線AB = sin(π/6)
直線AC = tan(π/6)
6×sin(π/6) < π < 6×tan(π/6)
という関係が分かり、正六角形で求めたことを考えると、
一般に内接・外接する正n角形に対して、
式(1) n×sin(π/n) < π < n×tan(π/n) n = 3,4,5,6,7,8・・・
が成り立ち、nを大きくすれば、円周率πを上下から挟み込んで精密に求められるようになる。
(四角形、八角形でも図を描いてみればわかります。しかも、三角形や五角形でも成り立つ)
けれど、式(1)をじっくり眺めてみると、三角関数sin,tanの意味をなるほどと感心するだけで、これじゃ、求めたいπは、訳がわからん。
方針を変えて、要するに正多角形の角数を多くすると、外周はどのような規則で増えていくのか考えてみる。いわゆる漸化式。
ここで、半径1の円に内接・外接する正n角形の外周の半分を、それぞれ
I(n), O(n)とすると、
I(n) = n×sin(π/n)
O(n) = n×tan(π/n)
である。
ここでコツが入ります。nが1ずつ増えることを考えるより、2倍、3倍と増えるときを考えれば、三角関数の倍角の公式などが使えて計算しやすいだろうと推測する。さらに、基本的にsinとtanだけになるように計算を進めれば、漸化式になるだろうと。
O(2n) = 2n×tan(π/2n)
(計算式1)
使った公式
(公式1) tan(x/2)の公式
I(2n) = 2n×sin(π/2n)
(計算式2)
使った公式
(公式2) sin(2x)の公式
結局、
1/O(2n) = {1/O(n) + 1/I(n)}/2
I(2n) = √O(2n)×I(n)
となる。
僕はこの三角関数の計算に相当、苦労しました。ミソは、O(2n)は逆数にすれば綺麗になるということ、I(2n)はO(2n)が求まっているので利用してよいことと、sinに対してcosを割ってtanにしてもcosが残るが、sin×cosになればsinの倍角の公式でsinになるので、2乗してみればいいことに気付くこと。
<計算確認>
正しいのか、正三角形と正六角形で試してみると、
(計算式4)
図から求めたのと一致するので、確からしい。
これで、順番に正12角形、正24角形、、、、と増やせば、円周率がπに近づく。こういう順番に計算していくのはコンピュータが得意とするところです。
1 件のコメント:
ありがとうございました!
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